公開: 2024年4月18日
更新: 2024年4月18日
生物の種には、何世代にもわたって、その種が過去に経験した結果から学習したことを、種の保存・生存のために残す例があります。種の起源の著者であるダーウィンが、ガラパゴス諸島で発見したイグアナの進化の例に、陸上動物のイグアナが海を泳ぎ、潜って、海藻を食べる例があります。これは、陸上に食物性の食料が少ない島に生まれたイグアナでも栄養を摂取して、生きることができるようにするための進化でした。他の島で生きることを選択できましたが、その島では競争相手も多いので、敵の少ない島で繁殖(はんしょく)する道を選んだ結果です。
この例は、その動物の遺伝子を変化させて、新しい環境で、その種の存続を可能にするものでした。逆に言えば、そのような性質を獲得できなかったイグアナ達は、新しい環境での適応が難しかったため、その生息数が減ったでしょう。その反対に、新しい能力を獲得したイグアナの仲間達は、変化できなかったイグアナ達よりも生存に有利だったため、繁殖ができたため、相対的に多数になっていったと考えられます。最終的には、その島では、新しいイグアナの仲間が繁殖し、古い性質を維持したイグアナの仲間は、絶滅したと考えられます。
このような種の進化は、人類史でも、過去にネアンデルタール人と現生人(ホモサピエンス)との生存競争では、新しく進化した現生人(類)は、言語能力を高め、1グループの規模を拡大できたため、最終的には、ネアンデルタール人を淘汰(とうた)に追い込みました。これには、ネアンデルタール人の場合、現生人(類)よりも、エネルギー消費が多く、大量の食料が必要だったので、大きな集団で生活することが難しいと言う問題がありました。これに対して、現生人(類)は、少ない食料で生きることができるため、大規模な集団で協力して、生きることができました。
この集団の規模の問題は、規模の大きな集団では、技術の進歩ができやすく、イノベーションのためには有利です。例えば、1万年の間に、2つの人類の間に起きた石器の進歩を見ると、現生人(類)における石器の発展が目覚ましく、獲物を大量に捕獲し、食物を得て、種の発展を実現できました。ネアンデルタール人は、少ない獲物で種の存続が可能でしたが、技術の進歩を起こしにくかったため、現生人(類)との食物の獲得競争でも、不利な立場に立たされて行きました。ネアンデルタール人は、現生人(類)との2万年にわたる生存競争の結果、4万年前に絶滅したとされています。これは、人類の歴史に刻まれた、遺伝情報の学習結果です。